2011/3/23(水)【play】三谷幸喜生誕50周年大感謝祭「国民の映画」@渋谷PARCO劇場

【作・演出】三谷幸喜【出演】<ナチス高官>小日向文世(ヨゼフ・ゲッペルス/宣伝大臣)、段田安則(ハインリヒ・ヒムラー/近衛兵隊長)、白井晃ヘルマン・ゲーリング/空軍元帥)、石田ゆり子(マグダ・ゲッペルス/ゲッペルス宣伝大臣の妻)、小林隆(フリッツ/ゲッペルスの従僕) <映画人たち>風間杜夫エミール・ヤニングス/映画監督/ナチスと手を結んだ男)、小林勝也(グスタフ・グリュンドゲンス/ナチスと敵対した男)、今井朋彦エーリヒ・ケストナー/国民的作家/ナチスに恐れられた男)、シルビア・グラブツァラ・レアンダー/大女優/ナチスに利用された女)、新妻聖子レニ・リーフェンシュタール/若き女性監督/ナチスに愛された女)、吉田羊(エルザ・フェーゼンマイヤー/新進女優/ナチスを利用した女)、平岳大(グスタフ・フレーリヒ/二枚目俳優/ナチスに嫌われた男)

OPEN18:30 START19:00(1幕1時間/休憩15分/2幕2時間)
全席指定 9000円

3月11日に起きた大震災。多くの舞台やライブやエンターテイメントが自粛という決定をする中で、悩んだ末に劇場の明かりを消さない決断をした舞台「国民の映画」。ロビーは節電、上演前の三谷幸喜さんの挨拶はスポットライトなし、という中で幕が落とされました。
三谷幸喜作品といえばコメディなんですが、今回は笑いもあるもののテーマはシリアス。舞台は1940年代のベルリン。ヒトラー内閣の初代宣伝大臣ゲッペルスが理想の映画を作ろうと屋敷に多くの映画人を招いて展開する一夜の物語。芸術を愛する人間たちの思いと葛藤が交錯するストーリー。


以下、ちょっとネタバレ含みです。ご注意。

この時代のこのテーマでなので、もちろんナチスユダヤの問題が絡みつきます。でも、登場する人物たちは、人間臭い腹黒さはあるものの、いたって普通の感覚を持ち合わせた普通の人たち。芸術を愛して映画に魅了された人たちなのです。そういう人たちが、最後はあの大虐殺に加担していくという恐ろしさ。特殊な時代だったといえばそうなんですが、でもその時代に生きていたら、その価値観がスタンダードになってしまうわけで…。
それと、ナチス高官の動きを見ていながらも「まさか、そんなにひどいことはしないだろう」と思っていた映画人たちが最後に驚愕するわけなんですが、一般大衆もそうだったんじゃないかなぁと思ったりもしました。ちょっとずつちょっとずつ軌道がずれていくことに鈍感なのは、今の自分もそうなのかもな…。